岡崎

【岡崎
観光】

岡崎

徳川家康ゆかりの地・岡崎市で今に残る史跡と今の魅力に触れる
大樹寺
松平家・徳川将軍家の菩提寺。東海地方随一の美しさといわれる室町末期の多宝塔や家光が建立した山門や鐘楼など、見どころが満載だ。

天下泰平の世を築く決意を固めた運命の地

 その名を知らぬ人はいない、江戸幕府の祖・徳川家康。家康は、この岡崎の地で「二度誕生した」と伝えられているのをご存知だろうか。一度目の地は、岡崎城主・松平広忠の嫡男として生を受けた岡崎城、二度目の地が松平家・徳川将軍家の菩提寺である『大樹寺』だ。
 桶狭間の戦いで、当時19歳だった家康は織田軍に追われてこの『大樹寺』へ逃げ込み、先祖の墓前の前で自害すべく覚悟を決めた。そこに、当時の第13代住職・登誉上人に「この乱世を治め、住みよい世にするのがあなたの役目だ」という意味を込めた「厭離穢土 欣求浄土」という言葉を贈られ、自害を思いとどまったという。家康が人生観を確立し、天下泰平を目指すターニングポイントとなった瞬間だ。これが第二の誕生である。「厭離穢土 欣求浄土」の八文字は、生涯家康の座右の銘となり、同寺院の御朱印にも記されている。遺訓の第一条に「位牌は三河大樹寺に祀るべきこと」と記すほど、家康にとって『大樹寺』の存在が大きかったことがうかがえる。かつての大将軍が見たそのままの風景が随所に残る町を巡りながら、その足取りをなぞってみたい。
徳川歴代将軍の等身大の位牌
松平8代、徳川14代の位牌。徳川将軍の位牌は没時の身長の高さだ。
家光が思慕した祖父・家康の姿
家康壮年期の木像。33回忌に合わせて3代将軍・徳川家光が作らせたもの。
将軍が見た室内の景色を再現
冷泉為恭の手による総数120面の障壁画は23年に精巧に復元して大方丈に入れられる。

カフェ カシータのよこ
住宅街の静かなカフェで野菜たっぷりのランチを

 旬の野菜をふんだんに使用したヘルシーな料理で人気の店。ハーブティーやお茶の種類も豊富で、豆腐やおからを使用した自家製スイーツも評判だ。ランチタイムは混み合うので予約がベター。
彩り豊かなおかずが盛られた季節のプレートランチ。
昨年12月にリニューアル。アンティーク家具が並ぶ、センス溢れる空間だ。

おmochiや 匠や
和食の料理人が手掛ける柔らかな生もちを味わう

 今年6月にオープンしたばかりの、生もちとあんこの専門店。作り置きをしないので、つきたての生もちが味わえる。
看板メニューの船もち。シャリッとした食感のきな粉が人気だ。
あんこのシュークリームやあんプリンなどのテイクアウトも可能。

ステーキハウスアクア
厳選素材を使用した鉄板焼をコースで

 カウンター10席のみ、完全予約制のライブスタイルステーキハウス。海と水をイメージした空間で、極上の肉や新鮮な魚介類などが味わえる。鉄板上で繰り広げられるショータイムを満喫したい。
ステーキは熱々をサーブしてくれる。
創業以来人気のスペシャリテ・海老のビスク。4種類以上のだしを合わせた濃厚なスープだ。

早世した父親を思い未来の繁栄を託した寺

 家康は苦難の幼少期を過ごしている。政治的理由によって3歳で母親と生き別れ、6歳で人質となって今川家、織田家を転々とし、その間に父・松平広忠が死去。8歳で父親の墓参りを叶えた際に墓上に松を手植え、一族の繁栄を祈念したという。後に岡崎城主としてこの地に戻り、植えた松が豊かに生い繁っているのを見て、「我が祈念に應ずる松なり」と創建したのが『松應寺』だ。同寺院は、松平広忠を供養するためだけに建立された特殊な寺院で、当時は限られた人しか参拝が許されなかった。最奥部の御廟所は聖域中の聖域として鳥居を備え、22年5月に修復を果たしたばかりの土塀には、寺の格付けとして最高格の五本線が刻まれている。また、敷地そのものがひとつの墓であるため、墓石がないのも特徴だ。
 幕府直轄寺院として手厚く保護された同寺院だが、現在は誰もが参拝できる。さらに、境内の一部を『松應寺横丁』として開放、レトロな木造アーケードに雑貨店や飲食店が並ぶ、全国的にも例がない「寺の中の町」という新たな一面を見せている。かつての聖域の令和の姿に、時代の流れを感じてみたい。
境内の一部を開放して作られた横丁
松應寺の広大な寺領地内に生まれた今と昔を繋ぐ横丁。
松應寺
1560(永禄3)年、家康が父の菩提を弔うために建立。歴代将軍は家康への感謝や忠誠を尽くすべく、整備に力を入れたという。
武器供出を免れた希少な鐘
1635(寛永12)年、尾張徳川家の始祖・徳川義直が鋳造。岡崎空襲の際も破損せず、今なお重厚な音色を響かせている。
徳川将軍家の厚い庇護
歴代将軍がくぐった朱色の廟所門。鬼瓦には葵紋が施されている。

テラカドコーヒー
松應寺横丁の人気店でカフェタイムを過ごす

 スペシャルティーコーヒー豆を使用したビターな味わいのコーヒーやラテ、厳選素材を使用したモチモチ食感のクレープが味わえるコーヒースタンド。アイシングクッキーも人気だ。
松應寺参道のアーケード内に立地。
レトロモダンで落ち着いた内観。
抹茶やほうじ茶のクレープのほか、惣菜系クレープも。

磯部ろうそく店
江戸時代から続く老舗の和ろうそく店

 創業以来、300年にわたって手造りの和ろうそくを製造。国内産のハゼの実から取れる蝋を100%使用し、1本1本手作りしている。ガラス越しに職人の作業風景を見学できる。
様々なイベントも開催。
和ろうそくの芯は、イグサの繊維を和紙に巻いたものだ。
肩の部分が広がった「イカリ型」の和ろうそく。

DATA
 
  • 松應寺
  • 【住所】愛知県岡崎市松本町42
  • 【定休日】境内の参拝は自由

 
  • カフェ カシータのよこ
  • 【住所】愛知県岡崎市鴨田町字深田22-1
  • 【電話】0564・74・3892
  • 【営業時間】11:30~17:30
  • 【定休日】月

 
  • おmochiや 匠や
  • 【住所】愛知県岡崎市大門3-7-2
  • 【電話】0564・28・5528
  • 【営業時間】10:00~17:00
  • 【定休日】月(祝の場合は営業)、火
  • https://www.instagram.com/takumiyamochi/

 
  • ステーキハウスアクア
  • 【住所】愛知県岡崎市大門3-20-15
  • 【電話】0564・73・4722
  • 【営業時間】11:00~14:30 18:00~23:00
  • 【定休日】月
  • https://www.steakhouse-aqua.com

 

 
  • 磯部ろうそく店
  • 【住所】愛知県岡崎市八幡町1-27
  • 【電話】0564・24・0245
  • 【営業時間】10:00~18:00
  • 【定休日】水、日

犬山

【犬山/観光】
犬山

鮮やかなりし、犬山、時間旅行へ
ホテルインディゴ犬山有楽苑
『ホテルインディゴ犬山有楽苑』のロビーに入ると、庭園の向こうに犬山城を間近に望む。

緑の美しい季節を満喫できる地元旅

  中部圏の奥座敷とも呼ばれる犬山市。『国宝犬山城』をはじめとする数々の歴史文化財があることで名高い。近年では、四季折々の美しい景色や風情のある城下町などで、若い世代やフォトグラファーにも人気の場所だ。名鉄名古屋駅から電車で約25分と、日帰りで行ける気軽な行楽スポットとして知られているが、ゆっくり滞在して初めて発見できる魅力が数多く隠れている。移動時間が短いため疲労も少なく、現地でのアクティビティを存分に満喫できるのも地元・犬山旅が注目を集めている理由だろう。緑と青空の美しいこの季節、木曽川のせせらぎに涼を求めて訪れたい。
 旅の拠点にするなら、今年3月にオープンした『ホテルインディゴ犬山有楽苑』がおすすめだ。隣接する犬山城や、国宝茶室「如庵」のある『日本庭園 有楽苑』をはじめ、鵜飼やからくり人形などの伝統文化のモチーフが随所に散りばめられている和モダンな宿だ。ローカルフードを使用した斬新な創作料理が味わえるほか、犬山唯一の天然温泉も備えていて、極上のひと時を過ごせるだろう。
木曽川の鯉の影や桜の花びら、モミジの葉などのイメージを組み合わせたアート。
李白の漢詩『白帝城』を犬山城とリンクさせて、その情景に現れる彩雲を模したアート。
ホテルインディゴスイートのベッドルーム。犬山城と木曽川を間近に望む抜群の眺望を楽しめると評判だ。
トリュフバターのフレッシュパスタ。
テラス席を備えたメインダイニング。
総料理長のヴァンソン・ガドーさんによる料理が人気を呼ぶ。
ランチコースには、季節のデザートビュッフェが付く。
丘の上にそびえ立つ『国宝犬山城』の姿を眺めながら食事ができるテラス席は、予約必須の人気席だ。
国宝犬山城
室町時代の天文6(1537)年に築城。小高い山に立つ「後堅固の城」で、現存する日本最古の木造天守として知られる。

歴史の息遣いを感じる史跡巡りと文化体験

 まずは、木曽川南岸の小高い山に立つ『国宝犬山城』を訪れたい。戦国合戦の舞台で信長・秀吉・家康が攻め、歴史の荒波を生き残った城で、戦国時代ならではの様々な仕掛けが施されている。現存する日本最古の天守からは、当時の町割りを残した城下町や、北は川向かいに美濃、南に名古屋、戦国時代の武将達も眺めたであろう雄大な景色が広がる。
 続いて、犬山城の東にある『日本庭園 有楽苑』で、夏の日本庭園を散策しよう。茶道史上貴重な遺構である国宝茶室「如庵」のほか、重要文化財の「旧正伝院書院」、古図から復元された「元庵」があり、風雅な音色を響かせる水琴窟を備えた「弘庵」では、風情のある庭園を眺めながら、犬山焼の茶器での呈茶が楽しめる。
 また、犬山の夏景色を語るにおいて外せないのが、約1000本ものモミジの巨木で名高い山寺『寂光院』の青もみじだ。点々と石仏が並ぶ参道はすべて東海自然歩道に指定されている。展望台からは新緑を割って流れる木曽川に、犬山城、岐阜城、小牧城のほか鈴鹿山脈まで見渡せる。犬山の伝統文化を体験するなら、『ホテルミュースタイル 犬山エクスペリエンス』の茶道や和菓子作り、犬山焼の絵付けなどに参加してみたい。また、1300年の伝統を誇る迫力満点の「木曽川鵜飼」も、夏の風物詩だ。
 この季節にぜひ犬山へと足を運び、地元ステイをじっくり楽しんでみてほしい。
日本庭園 有楽苑
敷地内にある国宝茶室「如庵」は、織田有楽斎が建てたもの。現存する国宝茶席三名席のひとつ。柿葺(こけらぶき)の端正な外観が特徴的だ。
緑や木々に囲まれた「弘庵」では、気軽に呈茶を味わえる。
鮮やかな緑が美しい『寂光院』の青もみじ。
犬山焼の絵付け体験は、窯元が丁寧に教えてくれる。

『ホテルミュースタイル 犬山エクスペリエンス』のエントランス。
かがり火に照らされた幻想的な夜鵜飼。食事付きプランもある。

寂光院
白雉5(654)年に道昭和尚によって創建された真言宗智山派の寺院で、戦国時代には織田信長も参詣。
ホテルミュースタイル犬山エクスペリエンス
犬山祭や城下町のモチーフを取り入れた内観が特徴のホテル。様々なアクティビティで犬山体験ができる。
木曽川鵜飼
ウミウを使った伝統漁法が見られる観覧船で、現在4名の鵜匠が在籍。全国に先駆けて昼鵜飼を開催。
DATA
  • ホテルインディゴ犬山有楽苑
  • 【住所】犬山市犬山北古券103-1
  • 【電話】0568・61・2211
  • 【営業時間】IN/15:00~、OUT/~11:00
  • 【定休日】無休


  • 国宝犬山城
  • 【住所】犬山市犬山北古券65-2
  • 【電話】0568・61・1711(犬山城管理事務所)
  • 【営業時間】9:00~17:00(最終入館16:30)
  • 【定休日】無休


  • 日本庭園 有楽苑
  • 【住所】犬山市犬山御門先1
  • 【電話】0568・61・4608
  • 【営業時間】9:30~17:00(16:30最終入苑)
  • 【定休日】水(祝日の場合は翌日)


  • 寂光院
  • 【住所】犬山市継鹿尾杉ノ段12
  • 【電話】0568・61・0035
  • 【営業時間】8:00~17:00
  • 【定休日】無休


  • ホテルミュースタイル犬山エクスペリエンス
  • 【住所】犬山市犬山富士見町16-2
  • 【電話】0568・54・3111
  • 【営業時間】絵付け体験は土16:00~17:00、和菓子作り体験は第2・4土10:00~11:00
  • 【定休日】無休


  • 木曽川鵜飼
  • 【住所】犬山市犬山北白山平2番地先
  • 【電話】0568・61・2727
  • 【営業時間】6/1~10/15の昼と夜(プランにより異なる)
  • 【定休日】月、水、金(夜鵜飼は毎日運航、木曽川増水時は運休)

和歌山県名古屋観光センター

【名古屋・栄/観光】
和歌山県名古屋観光センター

自然を学ぶ、大人知的旅
滝そのものを“ご神体”として祀る「那智大滝」(飛瀧神社)
熊野那智大社別宮であり、熊野那智大社が造営されるまで熊野の神々はここに祀られていた。

雄大なる地球を体感
南紀熊野ジオパークの魅力

 地球、大地を意味するジオ(Geo)と公園(Park)とを組み合わせた「ジオパーク」。
 現在、日本ジオパーク委員会による国内認定地域が46カ所ある中で、特に自然の造形美と深い歴史とを心ゆくまで堪能できるのが、和歌山県の「南紀熊野ジオパーク」だ。

 南紀熊野といえば、いにしえより〝自然崇拝の聖地〟として、広く人々に知られてきたところ。信仰が生まれた背景には、ほかにはない大地が形成されたからということをご存じだろうか。
 古事記によれば、初代天皇となる神武天皇がこの地に降り立ったのは紀元前662年のこと。上陸した熊野の浜で 〝光り輝く山〟を見つけた神武天皇の一行が、光を目指して進み、たどり着いたのが『那智大滝』だという。この逸話よりはるか昔、今から約1400万年前のマグマ活動によって、那智の滝をはじめとする現在の南紀熊野の地形は生み出されていった。
 落差133m、直瀑としては日本一の落差を誇る『那智大滝』。この滝は、硬い火成岩と柔らかい堆積岩の地面がぶつかった境目にできたものである。紀伊半島は日本の中でも雨の多い地であり、柔らかい堆積岩は長い歳月の風雨によって、どんどん削られていった。一方の火成岩は硬いため削られずに残る。こうしてできあがったほぼ垂直の断崖に、滝は蕩々と流れ落ちているのだ。水量は毎秒1tほどにも及ぶという。
 大迫力の滝の前に立てば、自ずと敬虔な気持ちになる。まさに、有無を言わさぬ自然の力。次々と訪れる観光客達は誰もがみな、当たり前のように滝に向かって手を合わせ、頭を垂れる。滝をご神体とする〝自然信仰〟が生まれたことに、腹の底から納得だ。古事記の時代から現代まで、人の心というものは案外、変わらないらしい。だが、地形の成り立ちを知り、「ジオパーク」の観点から土地の景勝や文化を巡ることで、南紀熊野をより楽しめるのが、現代人のメリットだ。日本では珍しい異なる3つの地質から成り立っているという南紀熊野ジオパーク。太古の大地の活動に思いをはせながら、見て、触れて、楽しみつつ学ぶ「大人旅」を、さっそく始めていこう。
「熊野那智大社」
神仏習合の霊場として信仰を集めた那智山。『熊野那智大社』と三重塔を有する『那智山 青岸渡寺』が現在も隣り合わせる。
「那智山 青岸渡寺」
大きな岩が橋の杭のように並ぶ「橋杭岩」
大小40余りの岩柱が、約850mにわたって直線的に並ぶ。1400万年以上前、地下から上昇したマグマが泥岩に入り込んで固まった後に、泥岩が波に削られてこのような形になった。

大地と時が創った奥深いジオの世界

 本州の最南部に位置する南紀。
 今も昔も人々を驚嘆させる絶景がこの地に創造された。

 自然は、人知を超えたスケールで、そこにあるだけだ。しかし人は、自然から言い尽くせない感動を得て、生きるエネルギーに変えてきた。南紀熊野が古くから聖地として人々を惹きつけてきたのは、このジオパワーが強大だからに違いない。
 南紀熊野ジオパークを形づくっているのは、「付加体」「前弧海盆堆積体」「火成岩体」という3種の大地だ。「付加体」は、今から7000~2000万年前の深い海にたまった砂や泥が、プレートの浮き沈みによって岩石となった大地。「前弧海盆堆積体」は、「付加体」の浅い海の部分に砂や泥がたまって固まった地層。「火成岩体」は、マグマが冷え固まった岩石である。大陸プレートに、海洋プレートが潜り込むように徐々に押し寄せることで「付加体」や「前弧海盆堆積体」が盛り上がったりくぼんだりして、独特の景観が生まれた。また、約1400万年前、海洋プレートが沈み込む際に地下から上昇したマグマが地上に浮き上がって冷え固まることで、「火成岩体」となっていったという。人類の歴史と比べてはるかに長く、気の遠くなるような大地の歴史。悠久の時の流れの中で、風化したり波に洗われたりもしながら、人が感動を覚える「見どころ」が出来上がっていく。地層の織りなす縞模様や、異なる地質体がぶつかり合って生じる断面、驚くような巨石や奇岩などが、南紀熊野各地にちりばめられていった。
国の天然記念物に指定された巨大岩「古座川の一枚岩」
古座川の岸にそびえる一枚岩は、高さ約100m、横幅は500m。火山活動によって生まれた日本最大級の岩だ。
日本の地質百選の自然の造形美「高池の虫喰岩」
風化によって、多数の虫喰いができたような表面に。「道の駅虫喰岩」では周辺を巡るのに便利なレンタサイクルのサービスを実施。
澄んだ流れと摩訶不思議な穴「滝の拝」
古座川の支流、小川(こがわ)にある落差8mの滝の周辺には、流石に削られた「ポットホール」が。

自然と共生する南紀熊野の文化

 見どころ満載の南紀熊野ジオパークの旅は、観光ポイントという“点”を追うだけでなく“面”でとらえ、人と文化を見ることで面白みが増す。

「ゴトビキ岩」が威容を放つ、新宮市の『神倉神社』。権現山の中腹に位置し、熊野三山に祀られる熊野権現が初めて地上に降り立った地と言い伝えられる。この巨石は1400万年前のプレート活動で生まれた火成岩で、地形と信仰とが密接に結びついている。熊野灘エリアでかつて栄えた捕鯨では、見晴らしのよい海岸段丘の高台から鯨の群れを見定めて追っていた。太平洋に面した黒潮の恵みを最大限に活かしたものだ。文化や暮らしは、このたぐいまれな地形と密接に関わっているとわかる。
 南紀熊野の地形と文化の魅力についてレクチャーを受けられる『南紀熊野ジオパークセンター』も活用して、ぜひ有意義な旅としてほしい。
山の斜面に鎮座する巨岩「神倉山のゴトビキ岩」
『熊野速玉大社』の摂社『神倉神社』。源頼朝寄進と伝わる538段の険しい石段を昇った先にあり、新宮の街を見渡せる。
「熊野速玉大社」
麓に新たな社殿を建てて神を祀ったのが地名の新宮の由来。
ふわふわ絶品かき氷「仲氷店」
清流・古座川の水を使った頭がキーンとならない絶品かき氷は、神倉神社参拝後に楽しみたい。
多彩な展示でジオパークを紹介する『南紀熊野ジオパークセンター』。センター前は「本州最南端の地」で、眼前に太平洋が広がる。
熊野灘に向かって突き出た絶壁「梶取崎」
鯨漁が盛んな太地町にある。13〜12万年前にできた前弧海盆体積体が、隆起によって高台となった。
灯台が立つ岬には、古式捕鯨で用いた狼煙場跡や、鯨の供養塔などもある。
自然の恵を味わう、新鮮なマグロ料理「お食事処 大和」
メバチ、キハダ、本マグロなど、そのときのベストをマグロ市場から直で取り寄せ、豪快に盛る。大和丼¥2,000〜
熊野古道のクライマックス「大門坂」
『熊野那智大社』へと続く熊野古道。苔の緑も美しい石段は江戸期に整備されたものというが、悠久の時の流れを感じさせてくれる。
初めて訪れても懐かしく感じる「古座川の潜水橋」
周囲の景観に溶け込むような橋は、増水時に水面下に隠れる。写真スポットとしても大人気。
帰るのを忘れるほどの心地よさ「勝浦温泉」
洞窟の中に自然に温泉が湧出して熱い湯溜りとなったのが始まり。『ホテル浦島』内にある大洞窟風呂・忘帰洞(ぼうきどう)
DATA
  • 和歌山県名古屋観光センター
  • 【住所】名古屋市中区栄4-16-36 久屋中日ビル4F
  • 【電話】052・263・7273
  • 【営業時間】9:00~17:45
  • 【定休日】土、日、祝日
  • https://www.wakayama-kanko.or.jp


  • 南紀熊野ジオパークセンター
  • 【住所】和歌山県東牟婁郡串本町潮岬2838-3
  • 【電話】0735・67・7100
ジオをより詳しく知ることのできるわかやままるごとスタンプラリーを専用アプリで実施中
ジオパーク各所のチェックポイントを訪れ、専用アプリを使ってチェックイン。集めたスタンプの数に応じて、和歌山特産のプレゼント品が当たる。全30カ所のスタンプを集めれば、応募者全員に「完全達成賞」をプレゼント。
wakayama-stamprally.jp(わかやま・まるごとスタンプラリー)

和歌山県観光連盟

【和歌山・高野山/観光】
和歌山県観光連盟 和歌山県名古屋観光センター

静寂の高野山、歴史がいざなう旅

澄み渡る空気を静かにまとう天空の聖地・高野山。
1200年以上続く人々の祈りの痕跡と、在りし日の先人の面影に誘われて、
悠久の歴史を感じながら高野山ならではの非日常を体験したい。
今も瞑想する弘法大師へ食事を届ける
奥之院の最も奥に鎮座する御廟(ごびょう)では、今もなお弘法大師が世の中の平和と人々の幸福を願い、瞑想を続けていると信じられている。朝6時と10時半に食事を届ける「生身供(しょうじんぐ)」は、1200年以上続く尊い儀式だ。

自然と歴史が紡ぐ“祈りの地”を巡る

 和歌山県北部に位置する天空の聖地・高野山。唐へ渡り真言密教を学んだ弘法大師空海が、その教えを広めるために選んだ地だ。高野山は「一山境内地」であり、山全体を寺と称する。東西に約6km、南北に約3kmの敷地には、二大聖地として知られる「壇上伽藍(だんじょうがらん)」と「奥之院」や、「金剛峯寺」を含め117もの寺院が建ち並んでいる。開創以来今もなお多くの人が足繁く通い、祈りを捧げ、教えを請う、真言密教の聖地だ。
 高野山の西側に位置する大門をくぐり町へ入ると、高野山の本堂である「金堂」のほか、19の堂塔が建つ「壇上伽藍」が目に入る。「根本大塔(こんぽんだいとう)」の鮮やかな朱色は四季折々の自然の風景と相まって、ひと際美しい。その先にある「金剛峯寺(こんごうぶじ)」は、その外観だけでなく内部の石庭や襖絵など、一見の価値のあるものばかり。弘法大師誕生から1250年を迎えようとしている今、この地をそぞろ歩きながら、ゆったりとタイムスリップを楽しもう。
大広間や襖絵など見どころが豊富な「金剛峯寺」
「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコ世界遺産にも登録されている金剛峯寺。正門は金剛峯寺の中でも最古の建造物であり、かつては天皇と皇族、高野山の重役のみが潜ることを許された神聖な門だった。金剛峯寺で修行をする一般の僧侶は今も、右にある小さな入り口から出入りしている。
雌雄の龍を模した荘厳な庭
金剛峯寺内の「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」は、弘法大師誕生の地である四国の花崗岩で雌雄の龍を、京都の白川砂を用いて雲海を表現した庭。石庭としては国内最大級で、奥殿を守るように設計されている。
日本画家・千住博氏の襖絵
国内外で活躍する日本画家・千住博氏が手掛けた襖絵「瀧図」「断崖図」を拝観できる。高野山開創1200年を迎えた2015年から3年かけて、ニューヨークのアトリエで制作された。まるで音が聴こえてくるような迫力を感じられる。
「僧が修行する静寂の道場」という意味を持つ「壇上伽藍」
遣唐使として唐にいた弘法大師が、帰国前に有縁の地を探すべく法具である「三鈷杵(さんこしょ)」を日本へ向けて投げた。帰国後、壇上伽藍でその三鈷杵を見つけたことから、修行の場として最初にひらいたというエピソードが残る。
真言密教におけるシンボル的な「根本大塔」
本尊に胎蔵大日如来(たいぞうだいにちにょらい)、周囲には金剛界の四仏を配するシンボリックな大塔。内部の16本の柱には十六大菩薩、四面の壁には密教を伝えた8人の僧が描かれ、堂内を立体の曼陀羅として表現している。
高野山開創最初期に建設された「金堂」
高野山一山の本堂であり、重要行事も執り行われる。内部には「釈迦成道驚覚開示(しゃかじょうどうきょうがくかいじ)の図」や「八供養菩薩像(はっくようぼさつぞう)」が整えられている。
「四天王像」のある「中門」
819年に創建されたとされる「中門」は、1843年の火災で焼失した後、2015年に再建された。1819年に造立され1843年の火災を逃れた「多聞天像」「持国天像」と2015年に新たに造立した「増長天像」「広目天像」の四天王像があり、今と昔を結ぶ役割を果たしている。

名古屋とも縁がある?戦国武将の痕跡を辿る

 弘法大師が開いた真言密教の基本思想として、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」というものがある。これは現世で修行を重ねた結果、生きたまま仏と一体となり、悟りを開くことができるという密教ならではの教えだ。それに付随して、高野山には「死後は敵味方なく誰もが平等である」という精神がある。このことから、極楽浄土を求めて宗派や思想を超えた多くの人々の墓が高野山へと寄せられるようになったといわれている。
 実は、戦国時代に名を馳せた武将達もその一部。弘法大師の御廟(ごびょう、霊廟)がある「奥之院」には、戦国大名の約6割以上にあたる人物の墓や供養塔があるとされている。愛知・名古屋にゆかりのある織田家や豊臣家、徳川家のものも鎮座しているが、ここで注目したいのが、その場所や佇まいだ。織田信長の墓所は質素ながらも、御廟橋近くにあり、まるで一番近い場所からじっと弘法大師を見つめているよう。豊臣秀吉は広々とした墓地にゆったりと墓を構えている。徳川家に至っては、「奥之院」に第8代将軍の徳川吉宗や紀州藩の初代藩主・徳川頼宣などの墓があるほか、金剛峯寺の近くに「徳川家霊台」として初代将軍徳川家康・第2代将軍秀忠親子の霊が祀られている。こうした歴史の背景を紐解きながら、じっくりと見て歩くだけでも興味深い。
家臣を従え、佇む織田信長の墓
高野聖を数百人にわたり処刑したという織田信長。場所は御廟橋近くではあるものの、生前の行いを考慮してか、どことなくひっそりと佇んでいるようにも見える。近くには信長に仕え、明智光秀の子を養子に取るなどして活躍した筒井順慶の墓も。
高野山を庇護するようになった豊臣秀吉
信長亡き後、高野山を攻めていた豊臣秀吉であったが、木食応其(もくじきおうご)上人の説得により降伏させた。以来、篤く庇護するようになったといわれている。陽の光が差し込む広々とした敷地に静かに建っている。
家光によって建てられた徳川の霊舎
1643年、第3代将軍徳川家光によって建てられた霊舎。向かって右側に家康、左側に秀忠が祀られている。細やかな彫刻や装飾など卓越した技巧を見ることができ、深い信仰心があったことが窺える。
一堂に集められた墓石の数々
奥之院参道に、無数の無縁仏がうず高く積まれた「無縁塚」がある。風雨にさらされ、墓の形を留めていないものもあり、1200年以上にわたる人々の祈りと思いが凝縮された圧巻の光景だ。

体験と学びを通じて歴史をさらに感じる

 見て学びを深めたら、次は体験を通じてこの地の魅力をさらに感じてみてはいかがだろうか。高野山では、真言密教独自の呼吸法を行いながら瞑想をする「阿字観(あじかん)」や、般若心経を丁寧に書き写す「写経」を体験できる。ほかにも、しめ縄の代わりに家の軒先に飾ることで縁起をもたらす「宝来(ほうらい)」の制作体験(日にち限定)や、山内51カ寺では宿坊として宿泊できるなど、旅のプランに応じて様々な楽しみ方ができる。自然の音だけが静かに聞こえる空間で気持ちを整えながら、自分と向き合うひと時を過ごしてみよう。
 味覚を堪能するなら、名物のごま豆腐や湯葉をはじめとした精進料理をぜひ。動物性のものを使わず素材の味を生かした素朴な和の味付けは、ひと口味わうごとに滋味を感じられるものばかり。五感を満たしてくれる数々の体験が待っているはずだ。
呼吸を整え瞑想にふける「阿字観」
金剛峯寺内にある一般非公開の道場で行う瞑想法。呼吸と共に日々感じる苛立ちやモヤモヤを吐き出し、「阿」の梵字を前にして己の心と向き合うことで、心身をリラックスさせる。
※現在は新型コロナウイルス感染拡大により休止中
心を穏やかに文字と向き合う
般若心経の一字一句に願いを込めて書き写す写経体験。集中していくうちに雑念を払うことができ、心が安らかに。手を動かすことで脳の活性化に繋がり、終わった頃には頭がすっきりするとも。手本となる文字を写しながら書くので、初心者や書道未経験の人でも気軽に体験できる。
日本の伝統料理を心ゆくまで
宿坊では地元の野菜や山菜などを用いた伝統的な精進料理がいただける。品数も多く、一つひとつが味わい深いため満腹感も。豆乳の濃厚な甘みと野菜のだし、ごま豆腐が味わえるなど、美しく盛られた料理の数々に季節感を感じながら堪能したい。
露天風呂や庭園が楽しめる宿坊
約800年前に開かれた宿坊「福智院」の特別室からは、作庭家・重森三玲が手掛けた庭園を臨め、都会での忙しい日々を忘れて、心から解放された時間を過ごすことができる。院内にはゆかりのある諸大名の遺品や宝物などが納められ、荘厳な雰囲気。夜は贅沢に、天然温泉の露天風呂を満喫して。
「生身供」にも使われるごま豆腐
「角濱ごまとうふ」のごま豆腐は、和歌山県優良土産品・全国推薦優良土産品にも選出された逸品。弘法大師に届ける食事「生身供」にも使われている。伝統的な製法で丁寧に作られたその味わいは、濃厚な胡麻の風味と柔らかな口当たりが特徴。悠久の歴史を感じながらじっくりと味わいたい。
DATA
  • 和歌山県観光連盟 和歌山県名古屋観光センター
  • 【住所】名古屋市中区栄4-16-36 久屋中日ビル4F
  • 【電話】052・263・7273
  • 【営業時間】9:00~17:45
  • 【定休日】土、日、祝日
  • https://www.wakayama-kanko.or.jp


  • 高野山真言宗総本山金剛峯寺
  • 【住所】和歌山県伊都郡高野町高野山132
  • 【電話】0736・56・2011
  • https://www.koyasan.or.jp


  • 高野山温泉 福智院
  • 【住所】和歌山県伊都郡高野町高野山657
  • 【電話】0736・56・2021
  • 【営業時間】9:00~20:00(受付時間)※冬期は9:00~17:00
  • https://www.fukuchiin.com/


  • 角濱ごまとうふ 総本舗
  • 【住所】和歌山県伊都郡高野町高野山262
  • 【電話】0736・56・2336
  • 【営業時間】8:00~17:00
  • 【定休日】無休
  • http://www.gomatohu.com/