ビジネス街・伏見の中心にあるオフィスビル。その地下1階に、見落としてしまいそうな隠れ家的バーがある。その名は『伏見ウヰスキー倶楽部』。数々の銘柄を揃え、あまたのウイスキー愛好家が足繁く通うことで知られる名古屋の老舗バー『ヨシノバー』の血脈を引き継いだ、新しい社交場だ。
秘密めいた扉を開けると一転、モスグリーンの壁紙を仄かな灯りが照らす、広々とした空間が広がる。ラグジュアリーなソファが配置された店内は、大人の社交場と言うに相応しい。「よい雰囲気の中、上質な酒を楽しめるオーセンティックサロンがコンセプトです」と店長の保立直寿さんは語る。
ここでは『ヨシノバー』と違い、ウイスキーのアイテム数をかなり絞っている。
中心はスコッチやジャパニーズで、スモーキーなものやマイルドな味わいのものなど、銘柄が絞られているからこそ好みのものが見つけやすい。「ちょっといいウイスキーもお値打ちに味わってほしい」と、ブレンデッドの最高峰と言われるジョニーウォーカーのブルーラベルもリーズナブルに提供。芳醇で複雑、奥行きのある味わいをこの値段で楽しめるとは、魅力的なことこの上ない。
ウヰスキーに合う料理も軽いつまみからしっかりとしたひと皿まで幅広い。特に人気があるのはジューシーなポークカツサンド。ウイスキーの力強い香りと濃厚な肉のおいしさが互いに引き立て合い、杯も進む。一次会でも二次会でも、気軽に使える一軒だ。

上写真：アメリカで人気のスコッチウィスキー「デュワーズ12年」。ほのかな甘い香りと伸びのある味わい、後から微かに漂う辛味が特徴。1杯￥800
中写真：1920年頃、禁酒法時代の隠れ家的なバーをイメージした店内。ゆったりとした革張りのソファが心地よい。
下写真：店長の保立直寿さん。バーテンダー歴11年。『ヨシノバー』で学んだノウハウを活かし、ウイスキーを提案。