こだわる大人の特選グルメ
気軽に味わえる1軒
ランチや仕事帰りなど時間がないときだからこそ、肩肘張らずにおいしい料理を楽しみたい。
その日の気分に合わせて選べる、通いたくなる魅力溢れる店をご紹介。
ダイニングバー
【高岳】腸詰とワイン トング
存在感満点のシャルキュトリを、
選り抜き自然派ワインと共に
 地下鉄高岳駅より徒歩3分。マンションのテナント2階に「腸詰めとワイン」を看板に掲げる『トング』がある。赤いファサードに木製のドアがしっくりとなじんだ佇まいは趣があり、「扉の向こうには、おいしいものが待っているに違いない」と期待が高まる。
 店内にはカウンターが7席と、4人掛けテーブルが3卓。三角形に変形した独特の空間は天井が高く、窓も大きいため、開放的な雰囲気だ。カウンターの向こうには厨房があり、エプロン姿の店主がせっせと調理をしている。
「小さくてもよいから専門店を開きたいと思ったんです。腸詰やシャルキュトリをはじめとした豚肉を使った加工品や、豚肉料理を中心にメニューを構成しています。時々、違う食材に脱線することもあるんですけどね」
 そう穏やかに話す店主の松本健太さんは、以前勤めていた飲食店で店長として調理を担当する中で食肉加工に興味を持ち、ソーセージなどを試作するように。関連書物を読みあさり、試行錯誤を繰り返していく中で、現在のレシピに至ったという。自家製のシャルキュトリ類は、パテなどはもちろんのこと、ジャンボンブランは豚モモ肉1本を用いて加工しているという。また、赤身と脂のバランスのよい豚肉を選び、腕や首の部分を粗挽きにし、スパイスやハーブを練り込んで腸詰にしたTongsソーセージは、初来店の人のほとんどがオーダーするグランドメニュー。1本が140g前後もある存在感抜群のひと皿で、やさしいスモーク香は、自然派ワインとも好相性だ。
「アンクルト(パイ包み)をイメージして、衣を極力薄くして揚げました」と、店主こだわりの厚切りヒレカツも外せない。肉汁がほどよく染み出す、脂身控えめな部位を使い、絶妙の火加減で揚げたヒレカツは、ほどよくジューシー。確かにパイ包みのような感覚で、上品な味わい。「夜に食べても罪悪感が少ない」と、ファンが多いのも納得のひと皿だ。
上写真:Tongsソーセージ。
粗挽き豚肉の旨み、スパイスやハーブの風味が堪能できる腸詰は¥968。燻製香には赤ワイン、コー・ボーイが合う。グラス¥1,045
中写真:厚切りヒレカツ。
絶妙な火入れ具合のヒレカツ。そのままで味わっても美味だが、スパイシーな「太陽ソース」をつけるとワインがさらに進む。¥1,628
下写真:店主の松本健太さん。
1977年静岡県生まれ。飲食店で長年勤めた後、独立準備としてJ.S.A.ソムリエ、食品衛生管理者、狩猟免許(第二種わな猟)を取得し、開業。
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