こだわる大人の特選グルメ
気軽に味わえる1軒
ランチや仕事帰りなど時間がないときだからこそ、肩肘張らずにおいしい料理を楽しみたい。
その日の気分に合わせて選べる、通いたくなる魅力溢れる店をご紹介。
洋菓子店
【国際センター】アシッドデセール専門店 リリック
フランス菓子のエスプリ、
食材の旬をとじ込めたひと皿
 星が丘で好評を博していたアシェットデセール(皿盛りのデザート)専門店が、那古野に移転オープン。新天地は築95年ほどの建物で、外観からは、和風情が漂う。しかし、行燈がかかる階段を上がっていくと、次第にジャパンからフランスへ。扉を開けると、『リリック』の世界観へと様変わりする。頭上の梁はあえて残しつつも、フランスのアトリエを思わせるインテリア。モルタルを塗って仕上げたカウンター、コンクリート調のタイルが貼られた壁と、全体的にトーンを抑えたのは、「デザートの色調を楽しんでほしい」という思いから。
 フランスや東京の名店で腕を磨いてきたオーナーシェフの近藤祐香理さんが大切にしているのは、伝統の製法を礎に、食材の持ち味や香りを最大限に引き出すこと。メニューは1カ月半ほどで内容が変わる2種類と、夜限定が1種類。ピスタチオを主軸にしたメニューが定番となっている。ただし、組み合わせる食材は季節ごとに変えており、春先はピスタチオにフランボワーズを合わせた。アイスの上にはピスタチオクッキー、下には薄氷のような飴細工が。美しい盛り付けに一瞬ためらうが、思い切ってスプーンでパリンッと割って口に運ぶと、冷たいアイス、なめらかなブリュレ、フルーツやピスタチオナッツのプチプチ、クッキーや飴細工のハラハラ、シャリシャリとした食感が混ざり合い、そのおいしさに笑みがこぼれる。ピスタチオの香ばしさ、フランボワーズのフルーティな酸味が好相性で、近藤さんの食材に対する真摯な向き合い方も感じられる。
「現状が落ち着いたら、作家さんとのコラボイベントも考えていきたい」と、語る近藤さんとの会話を楽しみに訪れる人も多い。次はどんなデセールに出会えるだろうか? 『リリック』の世界観は、新しい季節の訪れを、より楽しく彩ってくれる。
上写真:ピスタチオのブリュレとフランボワーズ。
濃厚なピスタチオのブリュレと、ピスタチオの風味をいかしたアイス、フランボワーズの華やかな味わいを引き出したソルベがマッチ。¥1,500
中写真:イチゴとショートケーキのデザート。
香り高い紅ほっぺのおいしさを表現したひと皿。イチゴのスポンジケーキ、アイス、イチゴチップスやソースをあしらった。¥1,500
下写真:オーナーシェフの近藤祐香理さん。
1987年愛知県刈谷市生まれ。フランスの製菓学校で研修をした後、パリの名店『ラぺルーズ』でデザートを担当。東京『ブノワ』で研鑽を積み、独立開業。
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