こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか味わえないひとときを求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
郷土料理
【岐阜・恵那】いろりの郷 奈かお
自らの畑で育てて打つ、
精魂込めて仕上げる蕎麦に感嘆
賑やかな市街地から車を走らせること15分。なだらかな笠置山の稜線と緑豊かな田園風景を望む丘の途中に、のんびりとした風情漂う1軒の民家がある。1日1組限定の店『奈かお』だ。主人の中尾洋一さんと奥さんの敏子さんが2014年に開店。旬の食材やジビエを駆使したコース料理を提供し、そこで供されるシメの蕎麦が評判を呼んでいる。
「昔からもの作りに親しんでおり、店を開くなら手間ひまかけて作ったものを味わっていただきたいと思い、見よう見まねでそば畑から作ることにしました」。そう話す中尾さんは、2000㎡ものそば畑を耕し、毎年約80kgのそばの実を収穫。蕎麦打ちは専門店の教えも受けながら学んだという。生地の厚みを手で測りつつ、力加減をしながら蕎麦を打つ様は職人だ。「まさに好きこそものの上手なれ、です。いかにおいしい蕎麦を味わってもらうかを考えて、打ち方も道具の使い方も研究しています」。歯応えと香りを残すようにさっと茹で上げた蕎麦はツルリとした食感。噛むと芳香と共に蕎麦の甘さが広がり、だしのきいたつゆがより一層その旨味を引き立てる。「ランチでもこの蕎麦を提供してほしいと言われます」という中尾さんの言葉にもうなずける味だ。
ほかにも、猪や鹿などのジビエも中尾さん自慢の食材だ。自ら狩猟を行い、岐阜県のジビエ事業者にも登録。くさみがまったくなく旨みが強い新鮮な肉を、ローストやハム、味噌焼きなど多彩な味で提供する。囲炉裏を囲んで味わう風情も人気を呼び、都会から足繁く通う客も後が絶えない。
上写真:口に入れた瞬間、香ばしい蕎麦の香りが広がる。シメなのに「満足してもらいたいから」と、ボリュームも満点だ。
中写真:猪のハム、猪肉の味噌焼き、鹿肉のローストが盛られた「ジビエ盛り合わせ」。
下写真:笠置山を望む囲炉裏の間で、ゆっくりと食事を味わえる。
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