こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか味わえないひとときを求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
フレンチ
【愛知・安城】フランス料理 デュ アール
オーナーとマダムの理想がつまった、
フランス料理店
田園と矢作川に囲まれた住宅地の一角にある店は、目を凝らさなければ通り過ぎてしまうほどの密やかさ。オープン当初はネームプレートも掲げられておらず、場所のわかりにくさを度々指摘されたが、「自分だけの秘密にしたいから、かえって好都合とおっしゃるお客様が多くて」。そう笑いながら話すオーナーの鈴木稔さん。食材の宅配業を営んでいたが、直子夫人と食べ歩きを楽しむうち、店を開くことが夢となった。

安城で気軽に本格的なフランス料理を楽しみたい。その思いを出発点に、10年間かけて密かに開店準備を進めた鈴木さん。母屋の改装工事が始まるまで、直子夫人には何も告げず、「厨房機器や道具を買い集めて、納屋に隠していました」といたずらっぽく笑う。2012年にオープンした店は、客の目線を重視した気取らない雰囲気に徹している。クロスを外して紙のランチョンマットを敷き、テーブルの引き出しにそっと箸を忍ばせるといった気遣いが、緊張感をほぐしてくれる。「お客さまに喜んでもらえるひと皿を作りたい」という2人の思いを料理で表現。例えば、前菜のサワラとそば粉のガレット。オマール海老の旨みをきかせたコンソメジュレは、化学反応を利用して外側をコーティング。イクラのように外皮が弾け、中からコンソメジュレが染み出す仕掛け。

新しい手法を取り入れながら、発想豊かに作り上げる料理が目と舌を楽しませる。「可能な限り、リクエストに応えたい」。心づくしのもてなしが穏やかな空間に息づいている。
上写真:昭和37年に建てられた母屋の雰囲気を残した店内。
中写真:ディナーコース¥8,640より、サワラとそば粉のガレットのサラダ仕立て オマールコンソメのジュレ。
下写真:ディナーコース¥8,640より、活きオマールのムニエール。
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