こだわる大人の特選グルメ
大人のとっておきレストラン
誕生日や記念日などの特別な日は、心地よい空間でとびきりおいしい料理と共に迎えたい。
そんな願いを叶えてくれる、とっておきのレストランをご紹介。
ステーキ
【名駅】窯焼きステーキ TAKIBI
焚火がつくり出す、落ち着いたもてなし空間
 ゆらゆらと踊る炎、パチパチと炭がはぜる音、どこか郷愁を誘う香り。焚火をじっと見つめていると、不思議と心が穏やかになる。ここは、エネルギッシュな駅前からほんの少し離れた、隠れ家のようなレストラン。店名が示すとおり、料理も空間も焚火を中心に構成されている。店の顔である特注の炉窯で、旨みを閉じ込めるようにじっくりと焼かれる肉や野菜。どこにいても炉窯が見えるようにデザインされた店内。調理の過程で使われる焚火さえも、おもてなしの一環に昇華し、訪れる客は同じテーブルを囲む相手と真摯に向き合うことができる。
 メニューは、窯焼きステーキを中心としたコースのみ。ゆったりと利用できるよう、時には予約制限も行いながら営業している。ボタン海老の窯焼きなどの前菜でスタートし、シメのデザートには窯焼きフルーツや窯炒り焙じ茶。コース全般を通して登場する炉窯料理はどれも、食材の旨みが存分に引き出されている。
 フランス・ラルナージュの白土で作られた炉窯は、400度までの高温調理が可能なガスと炭火のハイブリッドタイプ。この炉窯で調理すると、肉も野菜も本当においしくなると料理長の青木大介さんは言う。それは、吸臭性に優れた白土の特性から食材に余計な香りがつかず、高火力で焼き上げることで水分を逃さないから。表面を素早く焼き上げたら、遠赤外線でゆっくりと中まで熱を通していく。
 「長年フレンチに携わってきましたが、今までは肉にストレスをかけないよう優しく熱を入れていくことを意識していました。それに比べると、炉窯調理は内と外から一気に熱を加えます。しかし、肉本来の味を引き出すには最高です」
 火との距離感を慎重に測りながら串に刺した塊肉を焼いていると、余分な脂が落ちていく。だんだんと、肉のおいしい部分だけが凝縮されていく。
 「肉の醍醐味を感じてもらいたいので、ステーキにソースはつけません。山葵やヒマラヤ岩塩などの薬味はありますが、まずはそのまま味わっていただきたいです」
 余分をそぎ落とすことで、本質がよくわかる。
 場を和ませ、食材のおいしさを凝縮させる焚火の力。おもてなしの席に用いれば、相手とより深い関係が築けるかもしれない。
上写真:炉窯に最も近いカウンター席は、まさに特等席。調理中の音や香りがダイレクトに伝わり、ライブ感を楽しむのにうってつけだ。
中写真:ステーキの肉は、日替わりで3 種類を用意。生の状態で肉を確認し、選ぶことができる。写真は右から信州プレミアム牛サーロイン、宮崎県産黒毛和牛ヒレ、さつまビーフうちもも。
下写真:料理長厳選の窯焼きステーキ。写真は信州プレミアム牛サーロイン。霜降りの脂が程よく溶け、口の中に上品な甘みが広がる。付け合わせの野菜も炉窯で調理。
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