こだわる大人の特選グルメ
大人のとっておきレストラン
誕生日や記念日などの特別な日は、心地よい空間でとびきりおいしい料理と共に迎えたい。
そんな願いを叶えてくれる、とっておきのレストランをご紹介。
和食
【高岳】饗庵大乃
店主の真心が込められた
繊細かつ贅沢なひと口コース料理
 メニューはコースのみ。献立に並んだ料理名は、圧倒の約20数品。少量多皿のスタイルで、ほとんどがひと口サイズだ。店主の大野忍さんは言う。「繊細な料理を本当に楽しむならひと口、という結論にたどり着きました」。大野さんはこれまでに加賀料理から企業グループの食の監修までを幅広く経験。「データに基づく分析も行ったところ、脳がおいしさを判断するのはほんの少量とわかりました」。
 コースの中身は毎日変わり、和食が基本だが枠にとらわれてはいない、とも言う。食材は市場での出合いから。「東海には素晴らしい素材が多い」と、地元のものが中心だ。地域の食材にもっと親しんでほしいという思いから、多治見の陶芸家、瀧口大喜さんに東海三県を型どった器を特注し、各県地産の物を使用した料理をのせる趣向も取り入れた。加えて、馴染みある北陸のものや、奥さんの出身地、北海道のものもしばしば登場する。
 「ひと口」をあなどることなかれ。そのひと口は限りなく奥深く、驚くほどに贅沢だ。トリュフやキャビアなどの高級食材も惜しみなく、大胆に使う。愛知の皿にのせた鶉玉の真鯛巻きにもさり気なく白トリュフをプラス。その前後に黒トリュフを持ってくることで、白黒食べ比べの粋な仕込みをすることも。「やり過ぎて原価オーバーが多発。でも贅沢な気分になってほしくて、もう捨て身で」と笑う。
 寿司が随所に織り込まれ、アクセントになっているのも特徴のひとつで、これは亡き父が寿司職人だったという根っこが関係している。直接教わることはなかったが、長兄から受け継いだ父の技と、名古屋で縁のあった「寿しの吉乃」から引き継いだものをミックスし、アレンジしている。
 また、食の安全への心配りも厚く、野菜は有機栽培のものがベース、米は自然農法で作られた岡山の朝日米、調味料は全てオーガニック。調理器具の素材にまでこだわっているそうだ。
 「料理人として尊敬する父の、道具を大切にする姿勢、そして、お客様に喜んでほしいという心からの思い。それが自分の基盤になっています」。
 贅沢でこだわりの詰まった珠玉のひと口が織りなすコースは、大野さんが極める最高のもてなしなのだ。
上写真:岐阜の銀杏・愛知の真鯛と鶉玉・三重のはまぐり。岐阜の皿はシンプルな煎り銀杏の藤九郎。愛知の皿は、三河産真鯛の塩漬けで豊橋産の鶉卵の半熟味玉を巻き、オリーブオイルとシソのスプラウトをオン。三重の皿は桑名産のジューシーな焼きはまぐりにカラスミ。
中写真:いくら丼にキャビアと金箔。岩手産のいくらを、塩分を抑えた醤油漬けに。そこへプラスしたのはなんとキャビア。仕上げには新陳代謝を促す力があるという金箔をちょっと多めにちらすという、超豪華版のいくら丼。
下写真:店主の大野忍さん。名古屋店立ち上げ後、トヨタグループの関連施設で食を監修した。

※料理はどちらもコース料理の一例です。状況により料理の内容は異なりますので、詳しくは店舗へお問い合わせ下さい。
DATA