大切な人へ自分の心を伝える時は、言葉だけではなく気持ちを表したひと皿で表現したい。そんな特別なディナーを叶えてくれるフレンチレストラン。オーナーシェフの北村竜二さんが舞台に選んだのは、江戸時代の武家屋敷で、明治以降は時の財界人たちが居を構えた白壁エリア。黒板塀に囲まれた門をくぐった瞬間から、特別な時間は始まる。

まずは緑生い茂る和の前庭を愛でつつ扉を開くと、一転してそこに広がるのはクラシカルな洋の空間だ。「レストランは劇場」というコンセプト通り、メインダイニングは思わず息をのむような広さと開放感。ふたりのために用意されたスペシャルシートは壁際のテーブル席だ。

名古屋フレンチ界を代表する存在といっても過言ではない北村さん。フランスの三ツ星レストランやスイスの名店で活躍したシェフが供するのは、決して奇をてらわない王道のフレンチだ。特にハレの日の料理を得意とし「洋服と同じように料理もオートクチュールでありたい」と、予約時の注文に応じて、華麗なひと皿に仕上げる。スペシャリテであるオマール海老を使った料理は、絶妙な半生の食感を残してハート型に。ほかにも宝石のようにちりばめられた小さなハート型の野菜が目を引くひと皿など、さりげない演出が感動を呼ぶ。またリピーターには二度と同じ料理を提供しないという徹底した姿勢にも、一流のもてなしの心が感じられる。こうした料理に合わせるワインも１５０種類と充実、特別な夜にふさわしい１本を予約しておくのも、男を上げる極上の演出だ。

上写真：シェフお任せコース￥29,700の一例、カナダ産オマール海老のジュレ寄せと南瓜のムースハート仕立て。
中写真：シェフお任せコース￥29,700の一例、和牛フィレ肉と天然鮑のポワレ 可愛らしい野菜に包まれて。
下写真：中部電力初代社長の家をレストランに改装した。