個性あふれる料理に定評がある覚王山のフレンチ『ルクソール』が、「もっとゆっくりワインと料理を楽しんでもらいたい」と駅から程近い場所へと移転。「ワインを開けるように華やいだ気持ちで店の扉を開けてほしい」と店名も新たに『コルク』とし、2015年4月に再オープンした。

　窓からもれる柔らかな光に誘われて階段を下りると、そこに広がるのは白とグレーを基調にしたシックな空間。柔らかなドレープが目を引く壁や、ダウンライトに浮かび上がる真っ白な本棚など、モダンで斬新なインテリアが印象的だ。「隣を気にすることなく、ゆっくりと食事を楽しんでほしい」とテーブル間を広く取るという配慮もうれしい。さらに開放的なオープンキッチンもここでのお楽しみのひとつ。鮮やかな手つきで料理を仕上げるシェフの姿や、鼻孔をくすぐる香りに、自然と気持ちも高揚する。

　料理はフレンチの枠にとどまらず、自由な発想で作られるものばかり。蟹にまとわせた薄桃色のジュレと野菜とのコントラストが華やかな前菜や、琥珀色に輝くコンソメジュレなど、いずれも豊かな感性で盛りつけられた芸術的なひと皿で、シンプルな空間にひと際映える。非日常的なその空間を肌で感じ、目で楽しみ、舌でその美味を味わう。五感のすべてで居心地のよさを感じる、そんなとっておきの一軒だ。

上写真：ディナーコース￥6,804より。フランスランド産ハトのロティ　ルバーブのコンディメント。
中写真：ディナーコース￥6,804より、ズワイガニと桃のレムラード　蟹味噌のバーニャガウダ　井深農園サラダ。
下写真：間接照明がくつろいだ雰囲気を演出。