賑やかな大須界隈の一角、静かな路地で目を引く白い暖簾。開店して2年、趣向を凝らした天ぷらと日本酒が食通に評判の『梵』だ。
　主人の小網忍さんは日本酒をこよなく愛す一方、半年前からワインにも傾倒。知り合いに学びつつ独学でも知識を積んでいるという。「日本酒同様、ワインも奥が深くその可能性の広がりを感じます」
　ワインは「飲んでおいしいものだけを揃えたらこうなった」とビオワインのみ。その奥行きのある深い味わいが、アイデア溢れる独創的な天ぷらとよく合う。カリッと揚げた大葉の上に生ウニをのせた一品には日本産の白をセレクト。ドライな飲み口と程よい酸で油切れもよく、磯の香り漂う濃厚な生ウニの味をまとめ上げる。また鹿肉や鴨肉などのジビエに合わせるのは濃厚な赤ワイン。豊かな果実味がジビエのソースのように肉の力強い味を引き立てる。
　ほかにもまろやかなフォアグラと粘りのある里芋を生ハムで巻いて揚げたひと皿や、海苔で巻いたカチョカヴァロにカラスミをかけたコクのある天ぷらなどメニューは約30種類。ワインとのペアリングが楽しめるものばかりだ。

上写真：たっぷりの生ウニをのせた生ウニ大葉￥842と、ナッツやハチミツ香が漂うソガ オーディネールシャルドネ￥1,058。
中写真：表面を焼いて肉の旨味を閉じ込めたエゾ鹿と鴨肉の天ぷら各￥842にはリッチな余韻が長いシガリュスルージュ￥1,296が合う。
下写真：目の前で揚げる様子が楽しめるカウンター席はテーブルも広く居心地がいい。