こだわる大人の特選グルメ
気軽に味わえる1軒
ランチや仕事帰りなど時間がないときだからこそ、肩肘張らずにおいしい料理を楽しみたい。
その日の気分に合わせて選べる、通いたくなる魅力溢れる店をご紹介。
和食
【池下】芦屋 こはく
「お気に入り」の食や酒が、
存分に堪能できる和食バー
 L字のカウンターで新鮮な魚とお酒を楽しめる『芦屋こはく』。店名につく「芦屋」は店主の林拓己さんが生まれ育った地だ。
「祖母の行きつけの和食店で学生時代から修業し、縁あって名古屋で店を持つことになりました」
 2019年の開店当時、林さんは23歳。今も持ち前の品のよさ、人懐っこさで常連の心をぐっと掴んでいる。
 暑い時期は八寸、それ以外の時期はおでんがつき出しに出てくるのだが、まずこれがかなりのボリューム。おでんは京都にあるお気に入りの柚子鍋専門店の味をアレンジした塩ベースの柚子鍋おでんで、飽きないよう、だしを随時変えている。この日はスタンダードな昆布と鰹のだし。生柚子のほどよい酸味でさっぱりし、なおかつ酒が進む味付けだ。
 魚は柳橋中央市場で毎朝仕入れ、刺身や塩焼、煮付けなど、要望に合わせて調理する。カウンターに並ぶ魚たちの「顔」を見て選ぶのがおすすめだ。そのほか、日替わりの一品料理が各種あり、コースも5,500円から。
 そしてワインは、カリフォルニア・ナパヴァレーの「ケンゾーエステイト」のみという偏愛ぶり。入手困難なワインだが、地元にいる頃、大阪にあるワイナリー直営レストランに足繁く通っていた縁から公式取扱店に認定され、赤・白・ロゼ・スパークリング・デザートの計9種類を揃えている。一部を除きフルボトル、ハーフボトル、グラスの選択肢もあり、しかも、例えば白「あさつゆ」ならボトルで13,200円など、リーズナブルに提供している。
 日本酒も希少な銘柄が約20種。京都・山本本家の「神聖」は名古屋で正規取り扱いはここだけ。その旨さに感動し、酒蔵に直交渉したという。中でも生産本数限定で、酒蔵だけで買える特Aは全国的にも希少なものだ。
 おでんに魚、ワインに日本酒。お気に入りを詰め込んだ店は、ちょっと、いや、かなりクセになる。
上写真:土鍋で出てくる柚子鍋おでん。スタンダードなネタのほかに珍しい手羽先も。好みで、添えられた柚子胡椒や柚子味噌をつけていただく。つき出し/1人¥1,750 ※写真は2人前
中写真:刺身六種盛り合わせ。
この日は、北海道産の雲丹と帆立にアイルランド産の本まぐろ、戻り鰹にしらすのカルパッチョ、淡路産のくじらベーコンがのる。2人前¥3,300~
下写真:店主の林 拓己さん。
1996年兵庫県生まれ。祖母から料理を教わり、大学時代から和食店で働く。ホームパーティーの料理を担当したのを機に名古屋へ。
DATA