こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか味わえないひとときを求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
広東料理
【三重・鈴鹿】翠花
アジアの情緒漂う店舗で点心や焼き物を堪能
 「ちょっとした火加減で素材を活かせるところが広東料理の面白いところです」。広東料理の魅力を語るのは、『翠花』でオーナーシェフを務める久保田淳也さん。
 父親が中国料理店を営んできたこともあり、生まれた時から中国料理が生活に溶け込んでいたという久保田さん。「30歳までに自分の店を持ちたい」と東京へ赴き、名だたる名店で腕を磨いてきた。そんな素晴らしい経歴を持ちながら、東京や名古屋ではなく、開業の地に鈴鹿市を選んだのは、「自分が覚えてきたものを、生まれ故郷で提供したい」という思いから。
そのため、メニューの価格も気軽に食べやすいように設定している。サラダから中国小菓子まで9品が付くランチや、8品が付くディナーセットも¥1,000台で楽しめるのだ。驚かされるのは、リーズナブルなのに一品一品が丁寧に調理されており、とても洗練されている点。聞けば、厨房は一人だけで切り盛りしていて、「その料理に合った適切な状態で提供したいから」と、基本的に予約を優先しており、空席があっても状況によっては来店を断ることもあるのだという。
 そんな真摯な久保田さんが得意とするのが、点心と焼き物である。東京『龍天門』では香港人点心師からも技術を習得するなど、広東料理一筋に腕を磨いてきたとあって、小籠包やシューマイなどはもちろんのこと、豚スペアリブの土鍋ご飯のような香港の名物メニューもラインアップ。単品だけでなくセットメニューのメインメニューとしても提供する。
 「豚肉から脂がジュワッと出て、周りから少し焦げ始めたら炉から出します」と、焼き加減をしっかり見極めたチャーシューも、現地で「蜜汁叉焼」と呼ばれている香港スタイル。こちらは仕込んだ日のみ提供しているので、これ目当ての場合は、事前に問い合わせてから訪れるのがおすすめだ。
上写真:特製香港式釜焼きチャーシュー。ハチミツダレにくぐらせ味付けした豚肉を、炉でつるし焼きにした。外側はパリパリだが中はしっとりとしており、口内に甘辛い味が広がる赤いチャーシューは忘れられない味になるはず。¥1,045
中写真:豚スペアリブの土鍋ご飯 香港スタイル。スペアリブの旨味がたっぷり行き渡った香港式の土鍋料理。豚スペアリブ、黒豆を発酵させた調味料、豆鼓(トウチー)などをご飯にのせて蒸し、甘辛いタレで仕上げてある。¥1,100
下写真:オーナーシェフの久保田淳也さん。1975年鈴鹿市生まれ。辻調理師専門学校卒業後、東京『赤坂璃宮』にて周富徳氏に師事し、共に『青山富徳』に移る。東京『龍天門』では陳啓明氏、香港人点心師・廖國雄に師事。名古屋市『花梨』での勤務を経て、2004年5月に独立開業。
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