こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか食べられない味を求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
フレンチ
【三重・松阪】
キュイジーヌ・フランセーズ・サンセリテ
クラシックを取り入れた、
懐かしさもあるフレンチ
 のどかな環境の中に建つ、白い一軒家のレストラン。ここには海山の自然に恵まれる三重への誇りが詰まっている。
“高校生レストラン「まごの店」”で知られる相可高校の食物調理科出身で、津市の有名店での9年を経て、生まれ故郷の松阪で店を開いたオーナーシェフの萬濃直哉さん。彼が選ぶのは三重県、そして松阪という地ならではの食材だ。松阪牛や松阪豚。伊勢志摩や尾鷲で水揚げされる魚介。野菜は近隣の契約農家から。自然農法に加え、旨味の増幅や鮮度維持ができると一時話題になった50度洗い後の出荷を実践する「はしもと農園」のものだ。
 この日のアミューズは松阪の新しい名物で、松阪牛を彷彿とさせるサシの入る松阪豚をいろいろ楽しんでもらえるよう考えたいという味。前菜は、尾鷲で獲れた鰆と、甘い南紀みかん、濃厚な味のニンジンやレンコンの競演。アンクルート(パイ包み)の中身は松阪牛。肉のおいしさをしっかり味わえるようアンクルート自体はシンプルにし、ソースにフォアグラでコクを出しつつ、全体は軽めに仕上がっている。料理にどこか懐かしさを感じるのだが、萬濃さんの言葉に納得。
 「今の主流とは違う、都会の洗練さと地元ならではの素朴さのミックスをめざしており、最近あまり使われなくなったアンクルートやそのソースのようなクラシックな手法もあえて取り入れています」
 デザートも同じく、メレンゲに栗のクリームを絞るクラシックなモンブランに返りつつ、ベリーの酸味で独創的に仕上げている。
 ワインの品揃えはフランス産中心だが、その中で気になるのは地元産ぶどうのワイン。すぐ近くの『松浦葡萄園』でとれる有機栽培ぶどうを信州で醸造した「秋津姫」で、口直しのゼリーにも使われている。
 この店に息づくのは地元への誇りと愛。現在27歳のシェフだが、その若さで感じさせる大地のような包容力もまた、大らかなこの地で育まれたものなのかもしれない。
上写真:松阪牛のアンクルート トリュフとフォアグラのソース。松阪牛のイチボをパイ生地で包んで焼き上げた一品。
中写真:オーナーシェフの萬濃さん。津市『シャトー ラ・パルム・ドール』で7年修業し、系列のカジュアルフレンチ店で2年シェフを務めた後に独立。
下写真:デザートはパティシエールである奥さんの美穂さんが担当。キャラメリゼした焼きメレンゲを割りながら、モンブランクリームをカシスアイス、生ベリーやジャムと一緒に楽しむ。
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