こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか味わえないひとときを求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
フレンチ
【岐阜・多治見】ル・トア・ド・パリ
熟練の実力派オーナーシェフが提供する
約30種類の野菜をふんだんに使用したフレンチ
 時を経て深みを増したテーブル、歴史を感じさせるアンティークの調度品や間接照明の数々。さながらパリの老舗レストランのような風格が漂うフレンチの店。
 オーナーシェフの小田川光さんは東京で腕を磨き、フランスでは三ツ星レストランの立ち上げに関わったという実力派。「フランス料理といっても大きく分けると4つの郷土料理があります。これらの調理法を使い、季節に合わせた料理を提供しています」と話す。例えば、夏はプロヴァンスやコート・ダジュールの調理法を取り入れて、オリーブオイルなどでシンプルに仕上げる。「肉料理もマスタードの酸味でさっぱりと味わえるものを提案します」と小田川さん。逆に冬はノルマンディやパリの郷土料理のようにクリームやバターを使ったソースで濃厚なひと皿を作り上げるなど、四季ごとに違った味を楽しませてくれるのだ。
 またどの皿にも野菜をたっぷりと盛り付けるのも小田川さんが大切にしていることのひとつ。食感が秀逸なオマール海老のひと品にも、柔らかく旨味が濃い仔羊のポアレにも、メインを引き立たせるように彩り豊かな野菜がふんだんに添えられている。「ひとつのコースで約30種類は野菜を使うようにしています」という言葉に驚く。「フランス料理は野菜の摂取量がどうしても少ないので、身体のためにも少しでも多くの野菜を使うように工夫しています。だが、野菜ばかりではフランス料理でなくなってしまうので、あくまでもバランスを大切にしています」。
 フランス料理では重要な位置を占めるデザートも、小田川さんの感性が光る。自家製の栗を使ったババロアは風味豊かで、まるで栗そのものを食べているような味わい。柿はフランスのリキュール、ペルノー酒でマリネすることで芳香と甘みがより一層深くなり、まさに酔いしれるような美味しさになる。
 こうした逸品もさることながら、「食べたい肉料理や苦手な食材などは事前に伺っておくなど、お客さまの要望にはできるだけ応えるようにしています」という小田川さんのきめ細やかなもてなしも評判を呼ぶ。経験に裏打ちされた美味の数々と、洗練されたホスピタリティに惚れ込んで長年通う常連も多い。
上写真:カナダ産活オマール海老2種類のソース。魚のだしから取ったシュプレナンソースとエビの頭から取る濃厚なアメリケーヌソースで味わうひと皿。
中写真:フォアグラのブラックペッパーとハチミツビネガーのソース。ポートワインでマリネしたフォアグラはまろやかな味わい。はちみつのほのかな甘味とビネガーの酸味が漂うソースで楽しむ。
下写真:店主の小田川光さん。1949年長崎県出身。東京のレストランで4年勤務した後、スイス、フランスで研鑽。1984年に店をオープン。

※料理はいずれも¥10,000(税抜き)コースの一例
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