こだわる大人の特選グルメ
ちょっと足をのばして行きたい郊外のレストラン
そこでしか味わえないひとときを求めて、休日は家族や大事な人と郊外へドライブに出かけたい。
その地の風土を感じながら、知られざる新たな味に出合える珠玉の料理店へ。
イタリアン
【岐阜・岐阜】クチーナ フタムラ
東海地方の厳選食材を、
イタリア仕込みの技で昇華
 岐阜県各務原市で8年間、食通を魅了してきた『クチーナ フタムラ』が岐阜駅から徒歩10~15分ほどの場所に移転。路地裏に佇むレトロなビルを改装した店舗は、モダンシックな趣き。店内はカウンター主体で、ワインを傾けながら、ゆったりとシェフの料理を楽しむのに最適だ。
 メニューは、契約農家から取り寄せた野菜をはじめ、シェフが市場で目利きした魚を使用することも多い。趣味の釣りで獲得した魚を提供することもあるという。
「今日はサワラを前菜にしました。三重県答志島産で揚がるサワラは最近、タグ付きのブランド魚 として注目されているんです」
 オーナーシェフ・二村成幸さんが厳選したサワラは、57.5℃で5分間、低温調理してから皮目だけを炙って切り分け。手作りの燻製ドレッシング、ニンジンと白バルサミコのビネクグレットで仕上げ、アサリや魚のガラから取っただしを加えた紅芯大根のソース、ビーツのパウダーを添えた。脂がのったサワラは火を入れることで、生でもなく、焼きでもない、柔らかくほどけていくような食感が堪能できる。華やかでいてインパクトがある、前菜にふさわしいひと皿だ。
 肉料理に関しても、この日登場した鹿肉は、二村さんが現地の猟師の仕事ぶりを見てから仕入れを決めたものだという。秋の森を思わせる、付け合わせやソースが好相性で、鹿肉の滋味深い味が堪能できる。
 イタリアのレストランで経験を積み、各地の風土に触れてきた二村さんが作る手打ちパスタも評判が高い。卵黄生地で作るタリアテッレや、全卵生地で作るパッパルデッレ、詰め物のパスタなど、麺は実に多彩。種類によって合わせるソースは様々だが、特に、食材の味がダイレクトに感じられる、オイルソースのパスタを提供する頻度が高いのだとか。「コースだけだとつまらないから」と、アラカルトを提供しているのも嬉しい限り。シチュエーションによっては、2軒目使いもできてしまいそうだ。
上写真:前菜
「答志島トロさわら」のコンフィ。
三重県産のサワラをコンフィに。無農薬栽培の食用花などを添えた。小布施ワイナリー「ドメイヌソガ」シャルドネを合わせて。
中写真:肉料理 本巣鹿ロース肉の炭火焼。
岐阜県本巣市産の鹿肉は炭火焼に。ポルト酒や焦がしバターの風味が効いた赤ワインソース、ツルムラサキ、栗、ギンナンを添えた。
下写真:オーナーシェフの二村成幸さん。
1980年岐阜県生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、大阪のホテルで勤めたのち、イタリアで2年修業。岐阜県内のレストランを経て、独立。
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