飛び石のアプローチを進むと、杉の一枚板が艶を放つカウンターが目に飛び込む。その奥で客を迎える主人の杉江郁生さんは、京都の料亭で10年にわたり厳しい修業を積んだ料理人。骨抜きが困難なハモも、熟練の包丁さばきですべて抜いてしまう。

そんな杉江さんがカウンター割烹の店を構えたのは、「深夜まできちんと作った和食と、蔵元が丁寧に醸した日本酒を味わってほしいから」と言う。開店から22時までは杉江さんが吟味したおまかせコースを、22時以降は一品料理で料亭仕込みの味を楽しむという趣向。用いる食材はその時季に最も美味しくなる産地にこだわったものばかり。潮の風味を生かしてさっぱりとした塩辛に仕立てた青森産の赤ホヤ、知多産の魚醤とオイスターソースのコクをきかせた牡蠣のオイル煮など、濃淡をつけた多彩な料理に、味わいも様々な日本酒がよく合う。唎酒師でもある杉江さんが厳選した日本酒を飲み比べたい。

上写真：おまかせコース￥7,560より、先附八寸。
中写真：おまかせコース￥7,560より、松葉蟹とぐじのかぶら蒸し鍋 利久あん。
下写真：雪見障子の向うに玉砂利の庭と堀川を望む。