こだわる大人の特選グルメ
大人のとっておきレストラン
誕生日や記念日などの特別な日は、心地よい空間でとびきりおいしい料理と共に迎えたい。
そんな願いを叶えてくれる、とっておきのレストランをご紹介。
日本料理
【名駅】
五感で味わうイノベーティブな和食
ダークカラーが基調のクールな表情の店『眞』。席に用意された献立には先附、椀物といった表記も料理名もなく、「鰹 キャビア 卵黄」「和牛 トリュフ 木の実」というように食材が3つずつ挙げられているのみで、想像力がかきたてられ、期待が膨らむ。
コンセプトは、和食をベースにしたイノベーション・フュージョン―会席料理だ。自由な発想、和食の粋を超えた調理法や他の料理ジャンルのエッセンスを取り入れながら再構築するというもので、その中で目指すのは五感で味わう料理。その志を体現しているのが、鰻、フォアグラ、マンゴー、べったら漬けなどの段々重ねを海苔で巻いて食べるスペシャリテである。巻く時の手触り、噛む時の音が五感を刺激する。和洋が混沌とする組合せは味の想像がつかないが、各々主張ある味、香り、食感がフュージョンすることで、未知の感覚が呼び起こされるよう。お造りも酸味とコクのあるソースでカルパッチョのようにアレンジしている。
料理長の渡邉征大さんは新潟の老舗割烹料理店の家に生まれ、その板場で13年修業した後、海外と日本各地で酒造りまで含む多彩な経験を積んできた。その引き出しはアイデアの宝庫だ。素材も冒険を恐れず、ジロール茸などの海外のものや、季節にはジビエも取り入れる。それでもやはり和食だと感じられるのは培った基礎、丁寧な仕事があるからだろう。また、利き酒師の資格も持つ渡邉さん。日本酒との相性はさすがで、イノベーティブなコースを、季節ごとにセレクトされる日本酒と共に堪能できる。
上写真:下から、粟麩 、べったら漬け、マンゴー、フォアグラソテー、鰻の蒲焼き、芽ネギを重ねている。これを敷かれた海苔で巻き、噛んだ瞬間、フュージョンマジックが繰り広げられる。
中写真:金目鯛のお造りにミョウガ、大葉といった定番の薬味を添え、さらにトリュフオイルや粗塩、レモンと卵黄を加えたバターソース、キャビアをプラス。コクと爽快さに芳醇な日本酒がよく合う。
下写真:料理長である渡邉征大さん。酒造りや器巡り、ミシュラン3つ星料亭『銀座小十』を経て『眞』の料理長に。
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