こだわる大人の特選グルメ
大人のとっておきレストラン
誕生日や記念日などの特別な日は、心地よい空間でとびきり美味しい料理と共に迎えたい。
そんな気持ちに応えてくれる、身も心も満たす、とっておきのレストランをご紹介。
和食
【池下】京味 もと井
「はんなり」をちりばめた、
小さな京都に出合う店
すっと通り過ぎてしまいそうな控えめな間口。目印は風に揺れる緑の暖簾だ。地下鉄池下駅から北に延びる、多彩な飲食店が点在する道沿いに、「京味」を冠する小さな和食店が誕生した。店主の本井将樹さんは、かつて京都の名店で10年間修業し、下積みから腕を磨いた料理人。そこで培った技術を生かし、京都のエッセンスを随所に取り入れる日本料理を提供する。

京都といえば全体には薄味をイメージするが、「薄いのではなく素材の味わいを生かした味つけです。ごまかしが一切できないからこそ、食材にはとことんこだわっています」と本井さん。魚介の多くは三重県紀伊長島の仲買人から直接仕入れており、朝、水揚げの内容を聞き、予約に合わせて注文したものが夕方届いて皿にのる。新鮮さは言うまでもないだろう。野菜や米も同じく独自のルートを持っており、南知多の農家の有機野菜や無農薬米を使用。そこに季節の京野菜がプラスされ、冬になれば九条ネギや聖護院かぶらなどが登場する予定。

一方、コースの流れの中では、変化を意識。本井さんは「肉をどこかに取り入れるなど、飽きさせないリズムを大切にしています」と言う。焼物はすべて備長炭で焼いており、料理を待つ間、香ばしさが店を満たす。空間が小さい分、カウンター内の板場がとても近く、まさに「目の前」で料理が出来上がっていく臨場感が味わえるのもこの店の醍醐味。店主と女将との会話も弾んでいく。実は女将は京女。その京ことばが一瞬にして場をはんなりとした京都の色に染める。さらに、銘々の盆には店名の入った手ぬぐいが添えられ、使った後に持ち帰ることができるのだが、これは京都の料理店でよくあるサービスなのだそう。そんなエッセンスがいくつも積み重なり、店中が小さな京都に満ち溢れている。
上写真:コース料理¥8,000〜の一例、焼き八寸/牛ヒレの味噌焼き、あん肝、サンマの山椒煮、いちじくとマスカットの白酢和え。
中写真:コース料理¥8,000〜の一例、お造り/天然鯛の薄造り、しめ鯖、金目鯛の炙り。
下写真:カウンター8席のみの小さな店。荷物置きにかわいい籠を使うなど、随所の気配りが心地よさを生み出している。
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