こだわる大人の特選グルメ
大人のとっておきレストラン
誕生日や記念日などの特別な日は、心地よい空間でとびきりおいしい料理と共に迎えたい。
そんな願いを叶えてくれる、とっておきのレストランをご紹介。
割烹
【森下】割烹はまぐち
吟味した旬の食材を、あらゆる料理に昇華
 影法師がすらりと伸びて、あたりに夕闇が降り立つ宵の口。白壁から程近い赤塚交差点の一角がポッと明るくなる。軒先のダウンライトで薄暮に店が浮かび、格子戸からは琥珀色の灯りが漏れこぼれてくる。扉の横に掛けられているのは、大きな白木の表札。行書体の『割烹 はまぐち』という文字が静かに店の所在を明かしている。
 店に入ってカウンター席に座ると、まず出てくるのが食前酒ならぬ食前汁。コースの幕開け前に「消化器官を温めて、消化力を上げるために」という計らいで、主に山芋入りのとろろ汁が供される。「できればお酒を飲む前に召し上がって欲しい」そうで、郷に入ってはなんとやら。胃の準備をしっかり整えてから料理とアルコールを楽しみたい。夜のメニューはコースのみで3種類。金額によって品数や内容が変わるものの、食前汁でのスタートと大将の濱口清孝さんによる食材の説明は同じ。造りが出される前と、天ぷらが出される前にネタケースがお披露目される。
「当店のコンセプトは“あなたのために”。最初にその日の食材をお客様の目で確かめていただき、その場で好みなどもうかがいます。生の新鮮な食材が調理によってどう変化するのかも楽しんでいただけたら」と濱口さん。劇場型キッチンを自負するだけあって、濱口さんの手さばきが目の前で楽しめるライブ感も魅力になっている。
 さらに特筆すべきは、コース構成の豊かさ。寿司、天ぷら、肉料理、ラーメンなど“なんでもあり”状態で、濱口さんの「お客様に喜んでもらいたい」という気持ちが溢れ出ている。しかも、それらすべての料理が専門店にも引けを取らないハイレベル。特に旬の魚介からだしをとったシメのラーメンは驚くほど滋味深く、その筋の通から絶賛されるほど完成度が高い。
 もちろんアルコール類も充実しており、ビール、日本酒、ワインを各種取り揃えている。日本酒は全国から様々なタイプを仕入れており、時期によりラインアップを変更。時には入手困難なプレミアム銘柄が登場することもあるので、その日のおすすめを濱口さんに尋ねてから注文を。ペアリングの提案もしてくれるので、予算を伝えてお任せにするのも一興だ。
上写真:造り。その日その時、おいしいネタを少しずつ盛合せで並ぶ。
中写真:焼肴。この日は伊豆山の金目鯛。刺身でも食べられるほど新鮮な切り身、備長炭でしっかりとレアで焼く。
下写真:カウンター席は、店主との会話と一緒に極上の食材も楽しめる特等席だ。
DATA